前ページ

 立っていた者の殆どが座った。まだ納得出来ない者は更に厳しい視線を私に送る。

「私は、10年前に家族を魔に殺されました。それでも、皇帝の仰る通り、半年後に私達が勝利し、魔と争う事を止めて共存を考えて行動するとしましょう。しかし、魔が我々への憎しみを抑えられるとは思えません。再び危害を加えられると思うのです」

 もっともな意見だ。だがそれは……

「それは、フィアレスに指導させる。獄王の指示は絶対だ。最初は、互いの憎しみが衝突する事はあると思う。それを抑えて、世界を正しい方向に導くのが私とフィアレスの責務なんだよ」

 全員が座った。そして、一呼吸置いて私は剣を掲げて声を上げた。

 

「必ず勝利しよう!未来を生きる為に!生きる者は等しく幸せを享受出来るように!」

 

 講堂が熱狂に包まれる。人間界の代表者達の同意を得られて良かった。だが、本当に大変なのは半年後からだ。

「皆様、皇帝の主旨に同意されたようなので次に進めたいと思います」

 次は、理想と方針に基づく具体的な対処だ。

 これには、先程私が言った事も含まれるので皆から次々と意見が出て、次のように決まった。

 

 @半年後、必ず勝つ事

 Aフィアレスには魔を統制する役割があるので、殺さずに敗北を認めさせる事

 B魔を殺さない事。平和と共存を目指す上で、殺戮は憎しみを生む。しかし、身を守る上で止むを得ない場合はこの限りではない

 C戦うのは成人した男性で、子供と老人を戦いに参加させない事。女性は任意

 D勝利後、獄王と協議して人間界の一部を獄界に譲る事。これは、共存への第一歩である

 

 これらが、黒板に書き出されたのはもう夜中だった。議論が白熱し、時間を忘れていたのだ。朝から始まった会議は、ここで一旦中断して明日引き続き行う事となる。

 この調子だと、もっと具体的に話し合わなければならない『半年間で為すべき事』はどれ程時間がかかるのだろうか?

 各々が宿舎に向かう中、私達家族は城への帰路に就いた。三人で手を繋ぎ、真ん中のリルフィが私に言う。

「パパ、ありがとう。皆が幸せになる方法を考えてくれて!」

 私は首を振って、繋いでいない手でリルフィの頭を撫でた。

「パパがこんな考えを持てたのは、リルフィとママのお陰だよ」

 そう言うと、彼女はニッコリ微笑んだ。

 今日は三人でグッスリ眠れそうだ。

 

〜翌日〜

 翌日も朝から、会議が開催された。議題は『半年間で為すべき事』だ。

 各街の代表、学者や科学者、市民らの意見が活発に飛び交う。結局、この日の内にはまとまらず三日間かけて策定を行った。主要なものを抜粋すれば下の通りだ。これを各街で行う事となる。

次ページ