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 神がゆっくりとそう話した瞬間に、二人の体に『不動』がかけられて空間の遠くに弾かれた!傷を負う事は無いだろうが……

「キャァァー!」

 二人の叫びが響く!私は有無を言わさないその態度に怒りさえ覚えた!

「何をするのです!?……私達がここに来た理由、それはたった一つ『新生・中界計画』を中止してもらう為です!」

 私は神に近付き、出来る限りの大声で叫んだ!私の鼓動が際限なく早くなる!

「不可能だ。計画は我の責務……獄界との和平策はこれしかない」

 神は低い……そして荘厳な声で、表情一つ変える事なく私に言い放った!

「……何故なのですか!?人間界は……天界の存続の為に生まれた!そして……人間達は皆厳しい境遇を苦にせず、私達と変わらない魂を持って懸命に生きている!天界が生きる代償として生まれた人間達を……また天界の都合で滅ぼすと言うのですか!?」

 私は更に神を糾弾する。こんな事が許されてはいけないんだ!

「……お前がそこまで人間に毒されていたとはな。だが、人間という生物はかつての神が創り出した物。それをどうするかは、我の判断に任されていい筈のものなのだ。お前が口出しすべき事ではない」

 尚も神は顔色一つ変えない。何を言っても効果が無いというのか!?

「……私は人間に毒されたのではない!唯……正しい判断をしているだけです!……人間界が獄界との和平で邪魔だというのなら、もう一つ別に『中界』を創ればいい!それを……再び天界と獄界との『緩衝帯』にすればいいのではないですか!?」

 私がそう叫んだ瞬間、神の眉がピクッと動いた!

「……エファロードでありながら……人間に心を奪われたお前に、我の何がわかるというのだ!?……我の考えは絶対であり不可侵なのだ。もうこれ以上……愚かな話に付き合うつもりはない!」

 初めて神が見せる感情的な姿!『中界』の創造がそんなに気に障ったのだろうか?

「ルナさんっ!」

「ルナー!」

 そこで『不動』を自力で解除した二人が戻ってくる!

「私は、自分の信じる道を進む!……後悔しない為に!そして……未来の為に!例えこの道が……『神』……いや『父』である貴方に反するものであったとしても!」

 私はそう叫び、神剣を構えた!シェルフィア、リバレスも私に続く!

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