やはり、このフロアを越えるのには『獄王』の力が必要だった。しかし、それよりも……その後の語句が私は気に入らない。まるで、運命からは逃れられずに……生命は終わると書かれていたからだ。私は、永遠の心を信じ……死すらも恐れはしない。人間を滅ぼす計画が運命であるというのなら、私はそれを変えてみせる!私は神剣を握り締めた。しかし……シェルフィアとリバレスは震えていた。恐いのだろう。私は、シェルフィアを抱き寄せて、リバレスを肩の上に乗せた。
「……行こう!この星に生まれた事を幸せと言えるように!」
私がそう叫んだ瞬間!私達の体は『強力なオーラ』に包まれて転送されていく……
この『力』は、かつて私が天界から人間界に転送された時と同じ力……『神』の力だ!
私達は体を寄せ合った!意識を失わないように!すると……やがて、景色が変わった!
「ヒュオォォ」
転送された先……ここは、空の上!?だが、落下はしない。重力が無視された空間だ……
上には眩いS.U.Nが輝き……辺りは真っ青な空と強い風……そして、眼下には厚い雲が広がっている。
その空間にポツンと……背を向けた椅子が一つ浮かんでいた。機械のようなもので出来た椅子が!
「……待っていたぞ……ルナリートよ」
椅子が振り返る!?そこに座っていた者は!
「ルナにそっくり」
リバレスが驚きの余り声を漏らす……それもその筈だ……あれは私が老いた時に見せるであろう姿そのものだったからだ!
「貴方が……シェドロット・ジ・エファロード……神ですか!?」
私は目の前にいる大き過ぎる存在に話しかけた……こんなにも離れているのに、心臓が止まりそうな程の威圧感!
「……その通りだ。ルナリート・ジ・エファロードよ……一体お前は何の為にここに来たのだ?」
神は椅子に座ったまま……私達に近付いてきた。逃げる事など出来ない。体が動かないのだ!
「……私達は貴方に申し上げたい事があり……ここに参りました!」
気丈にもシェルフィアが声も絶え絶えに叫ぶ!だが!
「我は……人間の言葉に耳を傾ける気などない。天翼獣と共に黙っておるがいい!」