「ほら……道が出来ましたよ」
シェルフィアはぐったりと目を閉じる。精神エネルギーを使い果たしたのだ。
「……無茶な事ばっかりするなよ!」
私はシェルフィアを思う余りに……涙を流した。一歩間違えれば死んでいた所だ!
「ふふ……大丈夫ですよ。でも、リバレスさんと一緒に少し休みますね」
シェルフィアはそう言って私の腕の中で眠りに落ちた……とても安心したような笑顔と共に……
「シェルフィア、リバレス」
私は、荷物袋の中から毛布を出して二人を優しく寝かしつけた……二人は当分目覚めないだろうな……
恐らく……このフロアの石版を読めば……次は神の場所だろう。そんな直感があった。何故なら、さっきはエファロードのみが……そしてここではエファサタンのみが使える術を使わなければならなかったからだ。これ程厳重な守り……恐らく、神に会う為には獄王の力も必要だったのだろう。偶然シェルフィアが獄王の力の一部を使う事が出来たから先へ進む事が出来るが……贖罪の塔に入ってからここまでほとんど休む事もなく突き進んできた。だが……ここで私は兄さんの事が心配になった。
その頃……
ハルメスは、ある遺跡の階段を下っていた。全身……特に胸の出血で足が言う事を聞かない。
「……はぁ……はぁ……ルナ達はうまくやっているかな?……俺はもう少し頑張るぜ」
彼の歩いた後には多量の血痕が残っている。出血量はとうに致死量を超えていた。唯……彼を動かしていたのは……強い心……心臓も損傷している。体内にうまく血液が運搬されない。それでも彼は歩いていた。
「……ティファニィ……あと少しだ」
彼は闇の底へ向かう……ティファニィへの愛と……ルナリート達……そして人間への思いだけが彼を前へと進めているのだ。
〜生まれた意味と永遠の心〜
「……ルナさん」
「……ルナー」
シェルフィアとリバレスは時を同じくして目覚めた。眠りについてから6時間程が経過していた。
「……二人ともおはよう。大丈夫か?」
私はまだまだ眠り足り無そうな二人に声をかける。
「はっ……私達ずっと眠っていたんですか!?」