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「お前達は結婚したんだな。だが、私がジュディアを憎む心は消えていない。もし、私がジュディアを殺せばお前は私を憎むだろう?ジュディアは、それ以上の事をフィーネにしたんだ。今は、私が獄界に行き……約束通り再会出来たがな。これから先……私が進む道で、シェルフィアを傷付ける者……私の道を阻む者がいるなら、私は相手が誰であろうと倒す。お前が、心からジュディアを愛するのならば……私達の前に、あの女の姿を晒すんじゃない」

 ジュディアの話……それをすると、私の心が憎しみに満たされていくのがわかった。

「確かに……ジュディアを殺されれば俺は許さないな。だから……あいつを殺すのだけはやめてくれ……あいつをどうしても殺すというなら、俺を殺せ。俺にはその覚悟がある」

 セルファスはそう言うと、聖剣を自分の胸に当てた……

「お前の気持ちはわかった。だが、ジュディアを私から退けさせればいいだけの事だろう?」

 私はセルファスの聖剣を奪い、地面に放り投げた。こいつが死ぬ必要はない。

「あいつは……神術と命の司官。お前達から逃げる事は出来ないんだ。だからこそ頼む!」

 セルファスはその場に土下座して私に頼み込んだ。だが私は、ジュディアを前にして、殺さないという自信が無い。

「……ルナさんっ!私はここにいるんです!あの人を殺す必要なんて無いんです!許せとまでは言いません。でも、私達と同じ悲しみを増やすのは……苦しいです」

 そこで、シェルフィアが近付いてそう言った。その表情には深い慈悲と悲しみに溢れている。

「……わかったよ。シェルフィアがそう言うならな……セルファス、私達は天界へ向かう。異議はあるか?」

 私は、全身に火傷を負い……『滅』にほぼ全ての力を奪われたセルファスに問いかけた。

「……ルナ、そして、シェルフィアさん、ありがとう。そして……すまない!ルナ、俺は動けない。行くんなら行けよ。お前が考えてる事なんだ、何か世界が変わるような重大な事なんだろ?」

 セルファスは私達に深く感謝した後に、そう言って笑った。

「ああ、変えてみせる。今は、お前を友とは呼ばない。だが、私が世界を変えられたら……もう一度友に戻ろう」

 セルファスとは……また友人に戻れたらいい。それを言葉に出して、私は階段に踏みかかった。

「ルナー!待ってよー!」

 慌ててリバレスがついてくる。その直後だった。

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