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 ……それから、トレーニングの日々が始まった。ある島に行き、そこにある施設で戦闘トレーニングと、生命力を上げる為の装置で眠った。それらは兄さんの神術で作られた物で、戦闘用に作られた無数の神術人形と戦う。それらの全てが上級魔よりも強力な力を持っているのだ。これで、主にシェルフィアの戦闘能力が上がっていった。もう一つの生命力を上昇させる装置……これは、S.U.N(太陽)の光をエネルギーに変換して体内に取り込むものだった。確かに、これで生命力は上昇するが……私には何故かこれに見覚えがあった。かつて……私はこれと同じような物に対して嫌悪感を抱いていた。恐らく、これはエファロードとしての記憶だろう。

 一週間に一度は休息を取った。勿論、シェルフィアと共に……それは、兄さんにも了承を得た事だ。恋人としての時間が少しでも欲しかったからだ。それがあるから、戦う力と心が沸いてくる。先に待つ未来の為に戦えるんだ!

 こうして……70日間で、私達の力は大幅に上がった。リバレスとシェルフィアに至っては、私がエファロード第1段階の時に引けをとらない程に成長した。私は、苦労したが、獄王の影と戦った時よりも大きな力を操れるようになった。

 決戦の前夜……私達は、フィグリル城に集う……とても静かで優しい夜だった。決して忘れない。

 

〜最後の晩餐〜

 フィグリル城の屋上の会議場、私達は明日の為に集った。空には無数の星々……そして、柔らかな風が吹いていた。冬は過ぎ去り、もうすぐ春が訪れる。それを感じるような優しい風だった。屋上には、私達4人と多数の料理……そして、兄さんが精製した美酒があった。その酒は天界のものと同じで、強いアルコールとほのかな甘さがある。私達はそれの入ったグラスを取った。

「集いし心に……乾杯!」

 兄さんがそう声を上げると、私達は互いにグラスをキンッと鳴らした。

「やれるだけの事はやりました。後は全力を尽くしましょう!」

 私は周りを見渡し、そう言った。皆はそれに頷く。

「必ず……平和の為に……幸せな世界の為に!」

 シェルフィアも精一杯の強い言葉を発する。

「頑張りましょー!」

 リバレスも元気良く声を張り上げる。私達の決意には一点の曇りもない。

「ああ、人間達も一つにまとまっている!この70日間で、一致団結し強固な守りを作った。俺が驚く程のな……だから、俺達は何も心配する必要はない。ベストを尽くすだけだ!今日は、『人間界』で行う最後の晩餐……しかし、俺達の作戦が成功した暁には『新しい世界』で最初の祝宴を開こう!」

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