兄さんは上手い事を言うものだ。確かに、計画を中止させ……獄界への道を閉ざせば、この世界は生まれ変わるだろう。
「はい、必ず!全員……生きて再会しましょう!」
私はそう叫んだ。それが心からの願いだからだ。ここにいる誰も失いたくない。みんな必要なんだ。
「ルナさんの言う通り……約束ですよ!」
シェルフィアは全員の顔をじっと見つめた。その表情は真剣そのものだ。
「ああ、約束だ!」
「約束するわー!」
それに気圧されてか、兄さんもリバレスも即答した。
「ところで、皆今日は何の日か知ってるか?空を見るといい」
そこで、突然兄さんが言った。全員が空を見上げる。すると!
「……流星群ですか!?」
私が一番にそう言った。空に数え切れない程の彗星が流れているのだ。
「綺麗」
シェルフィアの視線が空に釘付けになる。
「この流星群は、500年に一度現れるんだ。俺はこれを『ティファニィ流星群』って名付けてる」
兄さんは微笑みながらそう言った。ティファニィさんへの愛がとても感じられた。見たこともないような幸せ顔だったからだ。
「それじゃー、ティファニィさんにも明日からの成功を祈ってもらいましょー!」
と、リバレスも何故だか嬉しそうに言った。確かにそれはいい案だ。
「(私達は……この星に生きる者の平和と幸福の為に戦います。どうか、私達が皆無事で再会出来ますように)」
皆の願いも同じだろう。4人は目を閉じていた。そして、不安なのかシェルフィアが私に寄り添う……
「大丈夫だよ。私達は『永遠の心』と『幸せの約束』で結ばれてる。決して離れたりはしないから」
私はそう言って、シェルフィアと手をつないだ。暖かい……それだけで、恐怖も孤独も悲しみも苦しみも全てが消え去る。
「ルナ、シェルフィアを不幸にするんじゃないぞ!」
私達の様子に気付いたのか、兄さんは振り向きもせずにそう言った。
「ずっと仲良くするのよー!」
リバレスまでそんな事を言い出す。一体、何故今そんな事を言うんだよ?
その後、私達は明日に備えて部屋で休む事にした。リバレスは、何故か兄さんと話があるらしく私の部屋にはいなかった。
明日から戦いが始まる。そんな不安と寂しさで、私とシェルフィアは深く愛を紡ぎあった。過ぎる時間が憎い程に……
しかし……いつしか眠りに落ち、運命の日を迎える事になる。