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 私はシェルフィアの顔を見て、互いに頷いた。

「気をつけてねー!」

 リバレスが心配そうに私達を見送る。

「お前も頑張れよ!すぐに帰ってくるからな!」

 私はリバレス頭を優しくポンポンと叩いた。すると、リバレスの顔に笑顔が溢れる。

「はーい!頑張りまーす!」

 彼女は元気よく返事した。その様子を見た兄さんも微笑んだ。

「頼んだぜ!」

 兄さんは、私とシェルフィアの肩を叩いた。

「はい!」

 私達は兄さんの思いに応える。その後、私は力を3段階まで解放する!

「綺麗な翼」

 シェルフィアがうっとりしたような表情を浮かべ、私の翼に触れる。

「シェルフィア、出発するぞ!」

 私は、シェルフィアを抱きかかえて意識を集中した。目的地は、リウォル上空……

「はい、いつでも覚悟はOKです!」

 そう言った瞬間、私は『転送』の神術を発動させた!

 景色が歪み……消えていく!次に目を開ければ……敵国の上空!

 

〜受け継がれた思い〜

 ここは?目を開くと、見慣れぬ街の上空だった。冷たい風が吹き抜ける。

「……ここがリウォル王国です」

 シェルフィアが私の耳元で囁いた。成る程……大した変化だな。

 街の規模は数Km四方……その周りを全て厚く高い外壁によって守られている。外壁の上には見張り台……それも100m置きに1台。私の目には見えるが、見張り台の上にはそれぞれ5〜10人が重々しい重火器を携えて監視しているのだ。確かに、これなら街の外から侵入するのは難しい。遠目に見ると、崩れたリウォルタワーの残骸や……フィーネと愛を確かめ合った湖が見えていた。

「思い出の風景が残ってるな」

 私はシェルフィアに囁いた。

「はい、街は変わってしまったけど、自然は残っていますね」

 シェルフィアの目は潤んでいたが、今はそんな思いに浸っている場合ではない。降下する場所を選ばなければ。兄さんは城に降り立てと言っていたが……城には無数の兵が配備されている。向こうからこちらは遠過ぎて見えてはいないだろうが、そこに降りれば怪我人が出るかもしれない。城の高さは100mは楽に超えており、外壁には大砲が並ぶ……街の至る所にも武装兵が並び、連射式の銃だろうか……そんな巨大な武器が配置されている。正に戦場……これならば、どこに降りても変わらないか?

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