「皇帝……私の中にはフィーネとシェルフィアの心。そして、ルナさんからもらった力……そして、獄界から解放された力……そんな力が宿っているんです。私がここに存在する為に、色んな人から力をもらいました。だから、私が戦う意味はわかります」
シェルフィアは突然そんな事を言い出した。自分の力……それを理解し始めたのだろうか?
「シェルフィア?」
私が問いかける。すると、彼女は私に微笑んでから話を続けた。
「私の力は、ルナさんを助けるための力。もう二度と悲劇を繰り返させない力……そして、平和を創り出す力なんです!」
シェルフィアは力強く叫んだ!それは、私達の願いの本質だった。
「シェルフィア、お前は強くなったな。俺が拾った時とは格段に……わかった、ルナを……そして、俺達を助けてくれ!」
兄さんが頭を下げる。シェルフィアは、そんな兄さんの様子に慌てた。
「皇帝!私はあなたに感謝してもし尽くせません!あなたは、ルナさんと再び出会うこの日まで私を大切に育ててくださいました!私は、ルナさんと作る未来の為に……そして皇帝の為に……戦います!」
シェルフィアは叫んだ。もう私には止められない。昔から彼女は変わらないな……
「シェルフィア、そしてリバレスも私が守ります。だから、共に戦いましょう!」
私が手を差し出すと、全員がそれに手を重ねた。結束の証だ。
「わたしもちゃんと戦うわよー!」
リバレスも真剣そのものだ。全員の意識が統一された所で、これからどうするのだろうか?
「それで、兄さん、残り3ヶ月で私達が行うべき事は?」
私がそう問いかけると、全員の目が兄さんに向けられた。勿論、この場には4人しかいないが。
「課題は3つだ。一つはこの人間界の戦乱を収めて、人間の意識を統一させること。次に、獄界からの侵攻を防ぐ事。そしてこれが最も重要な事だが、『神』に計画を中断させる事だ……人間界を中界にする計画は、神が示した計画。神の考えを変えさせない限り、この計画は終わらない。わかるな?」
兄さんは少し青褪めた顔で話した。確かに、これを全て遂行するのは非情に困難だ……
「……わかりました。私はどうすれば?」
私も身震いして返答する。
「ルナ、お前はシェルフィアとリウォル王国へ行ってくれ。お前達が行けば戦乱を終わらせる事が出来る」
何故か兄さんは不敵に微笑んだ。なぜ私が行けばいいんだろう?
「兄さんでも無理だった事を私達が出来るのですか?」