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 君のいない世界なんていらない!だからもう二度と離れたりしない!

「……会いたかった!私は、ずっと、真っ暗で何も見えない闇の底にいたんです。でも、でも!」

 フィーネは、涙で声にもならないままに叫んだ!

「……いいんだよ。君はこうして戻ってきた!それだけでもう何もいらない!言葉さえも!」

 世界の誰よりも愛するフィーネの心が戻ってきた!傷ついていた心が一瞬で癒されていく!

「でも、どうしても一つだけ言いたい事があるんです!」

 フィーネは顔を真っ赤にして私の胸に顔をうずめる!私も伝えたい事がある!200年間言えなかった言葉!

 

「愛してる!」

「愛してます!」

 

 私達の声は重なった!想いは同じ。約束は今果たされたんだ!幸せの為の約束が!

 私は、嬉しくてどうしようもなくて……フィーネの体を持ち上げて、ぐるぐるこの場を歩き回った!嬉しい涙が止め処なく溢れる!

「あっ!ルナさん!掌を開けて空に向けてください!」

 その台詞は聞いたことがある。私はフィーネの言う通りにした。

「本当に約束どおりになったな」

 涙で滲む眼に映ったのは……真っ白な雪だった。200年前に約束を交わした時と寸分違わぬ光景……

「……はいっ!ルナさん、寂しい思いをさせたけど今帰りました。ただいま!」

 私はそんなフィーネが愛しくて……抱き締めて、頬を寄せて再会の喜びを分かち合っていた。それだけで、今まで苦しかった心が解き放たれる!やっぱり、私に必要なのは君なんだ!私には世界よりも、天界よりも……自分の命よりも大事な存在なんだ!君がいなければ私は何も出来ないんだよ。

「ルナさんっ!お願いがあるんです。聞いてくれますか?」

 フィーネは、頬を朱に染めながら私にすがりつく……お願いなら何だって聞こう。

「何でも聞くよ……今日は、君の心が戻ってきた記念日だから!」

 私は、フィーネの頭を優しく撫でた……一度死んで、また再会出来たんだ。お願いを聞くなんて容易いものだ。

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