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「それじゃあ……一つ目は、ルナさんにとっては慣れないかもしれないんですけど、私の事は『シェルフィア』って呼んで欲しいんです。私の心は一つになったんですけど、シェルフィアとして生まれて今まで生きてきました。……だから生まれ変わった私は、新しい気持ちでルナさんともっともっと幸せになりたいんです!もし、ダメだったらフィーネでいいですけど」

 フィーネ、いや、シェルフィアは首を傾げた。確かに、シェルフィアとして見たらもっともな事だな。

「わかった!名前と姿は変わっても、心は変わらない。シェルフィア、よろしくな!」

 私は、そう言うとシェルフィアに優しく口付けした。すると、彼女はとても嬉しそうに微笑む!

「良かったぁ……実は、シェルフィアとしての私もルナさんの事が好きだったんです!名前を呼んでもらえて幸せです!」

 そうか……心が一つになったから、二人分の事が全てわかるし想いも共有出来るんだな。

「いっぱい思い出がありますね……私は全部覚えてますよ」

 シェルフィアは潤んだ目で私を見上げた……そんな彼女が、狂おしい程に愛しい!

「私も全部覚えてる。でも、今からもっと楽しくて幸せな思い出がたくさん増えるから忘れないようにな!」

 私は、微笑みながらシェルフィアの頬を撫でた。

「忘れませんよぉ!ルナさんこそ、忘れたら怒りますよ!」

 シェルフィアは、首を振りながら怒ったような素振りを見せた。こんな他愛の無いやりとりでも、私達の心は幸せで満たされる。

「……それはそうと、お願いがまだあるんじゃないか?」

 私は、急に真剣な顔をしてシェルフィアに尋ねた。すると……彼女の顔が朱に染まり、耳まで真っ赤になった。

「……はい、えっと……いっぱいお話したいんです」

 この様子は見覚えがある。もはや二度も言わせてはいけない。

「……私もだよ。今夜はずっと二人だけでいような……いや、これから先もずっとずっと!」

 私は、シェルフィアの肩を抱く……今日からが、『約束』の続きなんだ。永遠に続く幸せの……

「……はいっ!……ルナさん、大好きです!」

 私達は、雪の積もり始めた道を歩き出した。私達の未来の足跡は見えないけど、信じていれば二人で歩んでいける。

 これから先には険しい道が続くかもしれない。でも、シェルフィアがいる限り私はどこまでも強くなれる。不可能なんてないんだ。

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