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 私達は呟いた。何と、ここだけはかつての姿を残したままだったのだ!唯一変わっていたのは、私が堕天した時に出来た穴……そこに立派な大木が立っていたぐらいだった。落陽に照らされる村の美しさは変わらない。レンガの家が鉄に変わろうと……工場が煙を出そうと……そこに住まう『人間』達の生きる美しさは変わらないんだ。

 とても懐かしかった。ここから全てが始まったんだ。私達の絆……旅が……そして、心が……

 胸がいっぱいだった。この丘は私達の幸せの象徴にするはずだったんだ。

 でも、あの時その願いが果たされる事は無かった。

 それでも200年……私達は心を失わず、再びこの場所に来た!

 約束の場所へ!

「フィーネ」

 私は、また涙を流した。200年前の深い深い愛が込み上げて、理由もわからずに目から雫が溢れるんだ!

「……ル……ナさん!?あぁぁ!私が壊れそう!」

 私が『フィーネ』と呼びかけた瞬間!シェルフィアに異変が現れた!

「大丈夫だ!私はここにいる!だから……だから安心して帰っておいで!過去を拒まずに……新しい未来を作る為に!」

 私は迷わない!不安もない!私は『永遠』を信じる!心を!そして、君を!

 私は、シェルフィアを優しく……そして強く抱き締めた!私達の心は何があっても離れたりはしない!

 

 すると、シェルフィアの頭の中に響く声が私の頭にも響いてきた!

 

『……私は、ルナさんが大好きです。世界中で誰よりも!ルナさんは、優しさをいっぱいくれたから……私は、ルナさんが傍にいてくれるだけで、温かい気持ちでいっぱいになるんです。強い心を持ち続けられるんです!ミルドの丘から全てが始まりましたね。初めは、ルナさんの事が怖かったけど、今は大好きです。私は、あなたといるだけで幸せな気持ちが溢れてくるんです!』

 

『……ありがとう、フィーネ。私は、他人の為に一生懸命頑張って……懸命に生きて……それでも優しさを人に分けられる。そんなフィーネの方が、私なんかよりずっと素晴らしいよ……君がいたから、私は変わった。君がいたから戦う決意をしたんだ!君は私に無い物をたくさん持っていて……君が私に心をくれたんだ。だから……私はずっと君を守る。これから先ずっと……何があっても……私もフィーネを愛してるから』

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