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「私達を殺すと言う以上……覚悟は出来ているだろうな?」

 私は剣を抜いた。200年振りの戦いで体がなまっていなければいいが……

「上等だ……死ね!」

 5人で50万以上の生命力……それに、こんな場所では強力な神術は使えない!

「(わたしはどうしよー!?)」

 リバレスはこの状況で慌てて叫ぶ!

「(いつも通り、フォローを頼む!)」

 そう言った瞬間、魔の激しい攻撃が始まった!あらゆる角度から攻撃が来る!だが、私はそれを全て紙一重で避ける。

「ギンッ!」

 魔の剣どうしがぶつかり、火花が散った!これを受ければ、私も無傷では済まないだろう!だが……

「その程度では、フィアレスや獄王には程遠いな」

 私は、渾身の力でオリハルコンの剣を振りぬいた!今の私には魔の動きが止まって見える!

「ザシュッ!」

 一振りで、3体の魔を真っ二つにした!その直後、私は狭い範囲に神術のエネルギーを集約させる!

「神光!」

 厨房内が光に包まれ、魔の断末魔の声が響く!

「ギャァァ!」

 4体の魔が消滅……1体だけ、致命傷で生き残った。

「誰の差し金だ?話せば、生かして帰す」

 私は、動く力も無いであろう魔に近付いて問いかけた。

「クククッ!」

 魔は不気味な笑いを返す……その直後!

「ボゥッ!」

 魔の体から大量の煙が発生した!

「ゲホッ!」

 突然の不意打ちで、煙を吸い込んでしまった!体が痺れる上に、煙で前が見えない!この隙に私を殺す気か?

「ルナー!私がこの煙を消すわー!」

 リバレスが元の姿に戻り、神術を発動させる!

「中級神術……『風刃』!」

 風と刃が吹き荒れる!厨房が、風の刃に刻まれていくと同時に煙も晴れていった。しかし!

「魔がいない!」

 痺れがとれて、視界が晴れた頃には魔の姿は無かった。一体どこに?

「クククッ……そこを動くな!」

 厨房の外……上層へと続く階段の上に魔はいた。それも、さっき逃げたはずの少女を人質に!

「外道が」

 私は魔を睨みつけた。私が人間に持っている情を利用する気なのだろう。

「剣を放してそこを動くな!」

 魔が少女の首に刃を突きつけながら叫ぶ……

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