「……フィーネ?」
私は自然とフィーネの名前を囁いていた。すると!
「えっ!?何故貴方がその名前を!」
シェルフィアは驚いたように一歩退いた。シェルフィアは何かを知っている!
「フィーネを知っているのか!?」
私は自分でも驚くような声を出した!
「やめてください!その女性は、私の夢に度々現れるんです!その名前を聞いたら……胸が壊れそうに締め付けられるの!自分が自分で無くなってしまいそうで!」
そう叫ぶとシェルフィアは頭を抱えた!そうか……彼女が生まれ変わりなんだ。だから兄さんやリバレスはあんな風に!
「フィーネ!私だよ。ルナリートだ!」
私は、シェルフィアを抱き締めた。彼女は……フィーネの記憶を完全には失っていない!必ず戻るはずだ!
「あぁぁ!」
シェルフィアは叫びながら気を失った。私がフィーネと叫び過ぎたからか?
「シェルフィア!しっかりしてくれ!」
私は、治癒の神術をかけるが効果は無かった!どうなってしまうんだ!?
「やっと気付いたか、ルナ」
そこに兄さんが現れた。リバレスも一緒だ。私は間違った事をしたのだろうか?
「シェルフィアはフィーネです!でもどうすれば!?」
私は兄さんに詰め寄って叫び、その場に崩れ落ちた……
「……彼女は……シェルフィアの心とフィーネさんの心の二つを持っているんだ。ずっとフィーネさんの心は眠ったままだったが、お前が現れた事で眠りから完全に醒めようとしている。それとシェルフィアの心が葛藤しているんだよ。最悪の場合……二つの心が崩壊するかもしれない!」
兄さんは、私にそんな驚愕の事実を打ち明けた……何故そんな重要な事を今更になって!
「ルナー!『永遠の心』忘れたの?信じるしかないでしょー!?」
リバレスが私を励ます為にそう言う。でも!
「必ず戻る保障なんてないじゃないか!」
私は気が動転して首を振りながら弱気に叫んだ!
「ルナ!お前は、愛した女性を信じられないのか!?お前達が信じあっていたから、フィーネさんの魂は戻ってきたんだろう!?」