私は、『力』を発動させようとするが……全く体が動かず、力も入らない!
「獄界に堕とすだけじゃ甘かったみたいね……魂を砕かれるがいいわ!」
闇の空間が消える程の光がフィーネの上に集まる。『魂砕断』!
「やめろぉぉ!」
私は喉が潰れる程の声で叫ぶ!
「キャァァ!」
フィーネが……愛するフィーネが一度ならず二度までも!
感情が限界を超えた瞬間……私は目を開いた!
「フィーネ!」
私が叫んだ時……風景が変わっていた。ここは……『眠りの祠』。そうだ……私は眠っていた。さっきのは夢?
最悪な寝覚めだった。冷や汗が流れる。そして、嫌な予感がする!
「うーん……おはよールナ。あれ、顔が真っ青よー!」
私の叫びに目覚めたリバレスは、私の顔を見て驚いていた。無理もない。あんな夢を見たら……
「いや……何だか胸騒ぎがするだけだ。恐らく200年は過ぎた……行こう!」
私の意識は焦燥に支配されていた。悲劇を繰り返してはいけない!人間達を守らなければいけない!そんな焦りだ。この200年間の事は何も知らない。だが、何よりも初めにすべき事はフィーネを見つける事。それだけはわかっていた。
手を握り締める。そして、精神力を集中してみる。そうすると、自分の力が完全に戻っている事がわかった。
フィーネを探し出す……そして、争いの無い世界にする。私にはやるべき事が山積みだ。私の力はその為にあるんだ!
「うん、行きましょー!」
リバレスが私の肩に乗り、元気よく声を出した。200年経ってもちっとも変わって無いな。それで、私の焦りは少し和らいだ。
「兄さん、今行きますよ!」
私は、フィグリルの街に私達を『転送』させる為に意識を集中した。
これから……私達を待つ『時』はどんな顔を見せるのだろうか?