「ハッハッハ……貴様があのルナリートの兄か!」

 見知らぬ影……だが只者では無い!たった一人で現れたこの魔をハルメスは睨みつけた。

「何故、ルナの事を知っている?」

 ハルメスは剣先を向けながら問う。

「ワシは昔……奴に世話になったからな!ここに奴がいないのは残念だが……まずは貴様から死ぬがいい!」

 得体の知れぬ魔はそう叫ぶと、容赦無く禁断魔術を発動させた!

「まずは名前を名乗ってから挨拶じゃないのか?それは禁断魔術『死闇』だろう?」

 ハルメスは死闇が襲いかかるろうとしているのに対して、動揺すらしない。

「貴様、何故それを!?だが、もう逃れられん!闇の螺旋に飲まれるがいい!」

 魔は嘲笑いながら、死闇がハルメスを飲み込むのを眺めていた!

「やれやれ、俺はルナの兄だぜ!禁断神術『滅』!」

 死闇など塵に等しい程のエネルギー!直径数十mの『滅』が死闇を完全に消し去った!

「……生命力……不明!?待て!ワシを殺してはならない!」

 巨大な狼の体に金色の目……恐ろしいはずのその姿が明らかに恐怖に震えていた!

「お前は何者なんだ?」

 ハルメスはゆっくりと歩み寄る。この魔の力は、恐らく獄界でも相当なものだろう。だから正体を知る必要があった。だがその時!

 

 

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