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 二人は眠そうに目を擦った。だが、集中していれば眠りに落ちる程ではないが……

「これで大丈夫な筈だ……『光膜』!」

 私達の体を結界より高密度な光の膜が包む。これで、この植物の影響は受けない。だがそれにしても……

「不気味な植物ね……こんな植物見た事無いわ」

「わたしも、図鑑で色んな木を見たけど、こんな木は知らないわ」

 この木は、幹も葉も枝も黒い。そして、所々にある赤黒い花が花粉を飛ばしている。恐らくこの花が原因だろう。

「こんな所に植物が生えるのは信じ難いが……切って、炎で焼けば大丈夫だろう。心配する事も無かったな」

 私がそう言って剣を振ろうとした瞬間!植物を黒いエネルギー膜が包んだ!一体!?

「……久し振りだね、ルナリート」

「お前は!」

 黒いエネルギー膜の陰から現れた者……それは、私の最悪の想像通りの者……獄王の末裔……フィアレス!見間違う筈も無い。かつて、獄界で戦った姿と殆ど変わらない!黒い肌で整った顔立ち……変わった所は、少し歳を取った事と耳までしか無かった髪が肩まで伸びた事ぐらいだ。それより……何故ここに!?

「……この胸の傷を見なよ。君の兄につけられたものさ」

 感情をぶつける私とは対称的に、以前とは違う迫力を持つフィアレスは淡々と話を始めた。

 

 

 この先に待つのは……少なくとも平和ではないだろう。

 だが……私は必ず最愛の人を守る!もう悲劇は終わったんだ。

 悲しみを繰り返させはしない!

 今の世界の為に犠牲になってくれた。リバレス、兄さん、そして父さんの為にも!

 

 

そう……これが新たなる始まりだった。

神、獄王でさえも知り得ない未来への……

そして、Lunaという意味を理解する為の……

だが、何があろうともThe Heart of Eternityは消えはしない。

愛する者がいる限り……それを信じる者がいる限り……

 

私は君の傍で永遠に在り続けよう……それが私の意味だから……

 

 

§Luna§

『I will be known the meaning 
I was born by this battle……

I will keep living for the people hope for 
the eternity until the end of the time……

I wish for the everlasting love of you 

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