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 リバレスは私の肩に乗って微笑んだ。私はその頭をゆっくりと撫でる。

「私はほとんど何もしてないけどな……聖獣には感謝しないとな」

 私は灯りを消して寝る準備をした。窓の外には星明かり……そして、ルナ草が揺れていた。

「……わたしは、ルナにとっても感謝してるのよー!」

 リバレスは私の頭を軽く叩いた。私は、そこまで感謝されるような事はしていない。唯、生まれた瞬間から消える命を見過ごす事など出来なかったし、そんな事をする自分が許せないと思ったからだ。しかし……言い合っても仕方ないな。

「はいはい、わかったから、もう休もう」

 私はリバレスの額を指で小突く。すると……

「もー!ちっともわかってないんだからー!」

 リバレスは膨れっ面をして、私の枕元にある就寝スペースに入った。

 

「……(もし、ルナに不幸が起きて……わたしがそれを助けられるのなら、喜んでこの身を差し出すからねー)」

 

 リバレスが何かを囁いたような気がした。

「ん?何か言ったか?」

「何も言ってないわよー!おやすみー!」

 こうして、私達はゆっくりと眠りに落ちていった。

 

 

 翌朝……

「ドンドンドン!」

 ドアを激しく叩く音……一体何事だ!?

「ルナ!聖歌隊の隊長のクロムさんが捕まったのよ!今日裁判があるらしいわ!」

 ジュディアの叫び声だった。クロムさんが!一体何故!?

 

 

この日、学校の授業の終了と共に
神官ハーツの狂気染みた裁判が開始する。

 

 

§番外編§

 

【リバレスとの出会い】

 

- 完 -

 

 


目次

フィーネの心