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 ジュディアはまだ瞳に涙を浮かべてそう言った。彼女は……私の最初の友人……憎しみもあったけど、今はまた友と呼べるだろう。だが……

「あぁ。この戦いが終われば……皆元通りの友達だ。行ってくる!」

 友情を再開させるのは、戦いが終わってからだ。私とシェルフィアとリバレスは、上層に続く階段へと歩を進めた。

「良かったわねー!」

 リバレスが嬉しそうに私の周りを飛び回る。そうだ……計画を中止させれば……無益な争いを終わらせれば、輝かしい未来が待っている!

 私達は、階段を1段飛ばしで駆け上がった!

 

「ここは?」

 階段を登りきって見た風景、それにシェルフィアは思わず声を漏らした。

「すごい空間ねー!」

 リバレスも思わず大声を出す。それもその筈だ……これは建物の中じゃない!?

「これがエファロードの力だ」

 さっきハーツと戦ったフロア、つまり第一階層は何の変哲もない。只のオリハルコンと大理石で出来たフロア。

 しかし、この第二階層は一面が『森』だった。『森』の中では小鳥が囀り、小川すら流れている。

「どうやって先に進めばいいんですか?」

 シェルフィアが不思議そうに首を傾げる。私の中にはその答えがあった。

「石版を探すんだ。それを読めば自動的に上層に転送されるはずだ」

 私はそう言った。石版の内容は知らない。いや、覚えていないと言った方が正しいか……

「それじゃーそれを探しましょー!」

 リバレスが元気良く手を上げてそう言った。これだけの規模……空から探さなければ無理だろう。

「どこまで見ても森だけだな」

 空から森を見下ろすが、生い茂る木々以外には何も見えない。遥か遠く数十km先すらも同じ風景だった。

「ルナさん、この森は変ですよ。きっと、本物の森じゃありません」

 そこでシェルフィアがそんな一言を呟いた。鋭い勘だ!

「シェルフィア、いい勘だ。私の中の記憶がまた少し蘇ったよ……この森は神術で作られた幻影……それを消さなくては先は見えない!」

 私は精神力を集中した。……禁断神術を発動させるために!

「『滅』!」

 直径50m程の無の空間を放出する!これで、幻影そのものが消滅するはずだ!

「シュウゥゥ!」

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