そう言う彼女の顔は、見ている者まで幸せにするような笑顔だった。
「ほう……なるほどな」
「ルナもやるもんねー!」
同時に二人がシェルフィアの指に注目する。何て鋭いんだ。私は顔を赤くした。
「それじゃあ行ってきます!」
シェルフィアは足取り軽く、厨房へと走って行った。
夕食までの時間、私とリバレスは久々に二人になった。
「何だか、最近シェルフィアにルナを独占されて寂しいわー」
開口一番、それがリバレスの最初の一言だった。
「そんな事は無いって!お前のお陰でここまでやってこれたんだから。それはそうと、修行はどうだったんだ?」
私は少し慌てながら、リバレスの頭を撫でた。
「まーいっか。ルナ達が幸せなら、わたしも嬉しいしねー!修行は順調よー!わかる?」
少し落ち込んでいたリバレスがそう言って、目を閉じた。途端に、彼女の中から力が溢れ出す!
「へぇ……すごいじゃないか!以前の10倍ぐらいの力を感じるぞ!」
兄さんは一体どんな修行をしたんだろう?シェルフィア程ではないが、通常の天使を遥かに上回る力だ……
「すごいでしょー!?秘密の特訓よー!」
彼女は嬉しそうに飛び回った。まだまだ、子供っぽいな。
「ああ、すごいすごい。これで、3ヶ月後大活躍間違いなしだ」
褒めたつもりだった。しかし、彼女は意外な反応を示す……
「……うん。そうねー……わたし頑張るからねー!」
何だか悲しそうな目……一体どうしたんだ?
「……どうしたんだ?」
長い付き合いだ。様子がおかしければすぐに気付く。
「……えっ?何でもないわよー!それより、ルナ君……あの指輪は何かなー!?」
理由は答えず、悲しい素振りを消してすぐに明るく振舞う。深くは聞かない方がいいのだろうか?それはそうと……
「……指輪!?あぁ……あれは指輪だ」
私はリバレスの突然の質問に戸惑った。知られるのが恥ずかしかったからだ。
「婚約指輪かー……シェルフィアは幸せ者ねー!大事にしないとダメよー!」
リバレスが笑いながら私の背中を叩く。私は何も言い返せなかった。
「……(例え……わたしがいなくてもね。)」
彼女がそこで何か言ったような気がしたが、私には聞き取れなかった。
「……ん?何か言ったか?」
私が尋ねてもリバレスは答えなかった。夕食までの時間、私達は今までの思い出話に花が咲いた。