前ページ

 そう言いながら、私の胸は締め付けられた。シェルフィアは、フィーネの事もちゃんと覚えている。それが嬉しかった。

「ありがとうございます。私は、そんなルナさんの優しい所が大好きなんですよ」

 恥ずかしそうに俯く……その仕草がフィーネにそっくりで、私は思わず席を立って抱き締めずにいられなかった。

「ルナさん」

 彼女は頬を赤く染める。純粋な瞳が私を見つめる。私はその目を見て決断した。

「シェルフィア、話す事がある」

 私は、この幸せな瞬間を消し去るかもしれない話をする事を決断したのだ。

「えっ……何ですか?」

 私は不安そうに目を見開くシェルフィアにゆっくりと話を始めた。そう……『新生・中界計画』についてだ……話が終わるまで、シェルフィアは黙って私の目を見つめていた。

「ルナさん、今のお話を聞いて一つお願いがあるんです」

 それ程混乱した様子もなく、彼女は私に対して真剣な眼差しを向けた。これは覚悟した者の目!?

「一体何のお願いだ?」

 まさかとは思ったが、私は冷静を装ってシェルフィアに聞き返した。

「私も戦います。もう、私はあなたに守られているだけじゃダメなんです!皇帝も、リバレスさんも人間の為に戦ってくれるのに!人間の私が戦わないのはおかしいじゃないですか!?」

 シェルフィアは驚くような大声で叫んだ!

「ダメだって!君の力じゃあ、戦う事は出来ない!天使や魔がどれ程の力を持つかは知ってるだろ!?」

 私も叫んだ!シェルフィアを二度と危険には晒したくないんだ!

「これでも、ダメですか?」

 そう言うと、シェルフィアは目を閉じて意識を集中し始めた!すると!

「ゴォォ!」

 シェルフィアの体を炎が覆ったのだ!一体!?

「一体……君はどうしてそんな力を!?」

 私は叫んだ。人間がこんな強大な力を使えるはずがない!魔が言う生命力の数値化を行うと……10万は軽く超えている!?

「私の心が一つになった瞬間……こんな力が使えるようになったんです。きっと……フィーネだった頃に、ルナさんに何度も力をもらったから……そして、獄界に堕ちて再び転生する事が出来たから……こうなった理由はわからないけど、この力はあなたを助けるためにあるんです!」

 こんな事があるんだろうか?私が強大な力を彼女に用いたから?確かにそうかもしれない。天使と人間の魂は同じ……

次ページ