「それはそうとルナー、今から200年間眠ったらわたしの年は倍近くになっちゃうわよー!」
さあ眠ろうという時になって、リバレスはそう言ってショックを受けていた。
「心配するなよ。体の老化はほとんど進まないから。でも、200年後だから私は2026歳。お前は424歳だな」
私はそう言って、リバレスの頭をポンポンと叩いた。
「ガーン!424歳……ルナにとって200年って小さいけど、わたしにしたら深刻なのよねー」
リバレスは大げさに頭を垂れた。天使の寿命は約10000年、天翼獣は約3000年程度だからだ。
そしてエファロードは……長くて30〜50万年は生きる。それだけ長生きする事は……幸福ではなく孤独だろう。
「私はもう、この神術を使ったら動けない。準備はいいか?」
時が迫っていた。もうこれ以上伸ばすと、神術は発動出来ない。私は、神術を使う為に力を解放した。銀の髪、真紅の瞳、光の翼も発現する。
「相変わらず強引ねー……準備はオッケーでーす!おやすみなさーい!」
リバレスが笑顔で私の肩の上に乗った。
「禁断神術……『光包』!」
術が発動した瞬間、柔らかい光に体が包まれる。この光は、S.U.Nからエネルギーを吸収して私達の体を癒してくれる。祠の祭壇……そこに、光の毛布は完成した。勿論、この場所は結界越しにS.U.Nの光も取り入れられる。
「おやすみ、リバレス。そして……フィーネ」
『光包』は……精神も包み込む。もう目を開ける事も体を動かす事も出来ない。リバレスはもう眠ってしまった。
一体……200年後の世界はどう変化しているんだろう。
フィーネ、転生しても……約束通り……永遠の心……
持っていてくれよ……
フィーネ、リバレス、兄さん、そして、人間界よ……
おやすみ……
意識は……暖かい光の中に吸い込まれていった。
〜50年後『天界』〜
「只今を持ちまして、獄界との和平策である『新生・中界計画』の実行責任者及び実行日時が決定されました!」
天界の神殿……その屋上でそう叫んだのは、死を司る間の司官『ノレッジ』だった。