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「噂をすれば何とやらねー……わたしは宿に帰ってるわねー!」

 と意味深な言葉に振り返るとフィーネが立っていた!

「あっ……あの……ルナさんとお話がしたいなぁと思って」

 両手を前で重ねてもじもじと照れているフィーネだった。リバレスが、一目散に飛んでいく。

「じゃーねー!ごゆっくりー!」

 相変わらず……お節介な奴だ。

 夕陽が沈もうとする海岸の砂浜で私達は腰掛けた。季節は冬真っ只中になろうとしていた。私が堕天してから毎日どんどん気温が下がってきているのがわかる。季節……天界にはそんな物は無いが、その言葉は人間界に来て初めて知ったんだ。

 夕焼け雲が美しく、今の私達の心を現しているようだ……

「私は、今、とっても幸せです。ルナさんが私の傍にいてくれるから」

 フィーネは恥ずかしそうに私に肩を寄せた。私はその肩を抱き寄せる。

「私もだよ。ずっと一緒に生きよう……フィーネは17歳。私は1826歳。大分年が離れてるけどな」

 私は、照れながら冗談っぽくそう言った。

「……ルナさんが人間なら、18歳ぐらいに見えますね。でも、私はどんなに長生きしても100年も生きられないです」

 私はしまったと思った!フィーネがとても暗い顔をした。そうなんだ!どんなに一緒にいたいと願っても……フィーネは人間だから……でも、リウォルタワーの記録であったようにESGをフィーネに与えれば!だが、フィーネが天使化する前に拒絶反応で死ぬかもしれない。そんなリスクは背負えない!

「100年でもいい……私達が出会ってから、まだ一月も経ってないじゃないか!?これから先に何が待ち受けているかはわからないけど、ずっと、ずっと一緒なんだよ。一緒に生きて、幸せになろう。私は君と共に生きる。約束するから」

 私は今の思いを必死で伝えた。フィーネが好きだから……悲しませたくないから!

「はい、ずっと傍にいて下さいね……私はあなたがいてくれるだけで幸せになれるんです。天国にいるお父さんとお母さんにも、今の私を見せてあげたい……『辛い事もあったけど、私は幸せです』って」

 フィーネは、私の手をギュッと握り締めた。その切実な思いが伝わってくる。そして、私もその手を優しく握り返した。

 私は、この薄幸な少女を心の底から幸せにしたいと願った。絶対に不幸な目には遭わせない!

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