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 リバレスが炎を放つ……氷を放つ……雷を落とす……光で切り裂く……

 彼女は知っている神術の全てをシェイドに放った。しかし……効果があるはずもない。

「小賢しい奴だ!」

 シェイドが指先で軽くリバレスを弾いた。

「キャァァー!」

 彼女は結界にぶつかるまで弾き飛ばされて地面に落ちた……

 大怪我したに違いない。でも、
俺は動けないんだ。

 俺は今まで誰にも負けた事が無かったけど、
上には上がいる。

 さっき……200年間戦う事を決意したばかりなのに……

 ようやく真実を知って……戦う覚悟が出来たのに……

 ごめんな……フィーネ、俺はもう……

 ……意識が……薄れていく……

 

「ルナさんっ!」

 生きる事を諦めかけた時……幻聴が聞こえた。

「まさか……人間が来ようとは!?お前は何者だ!?」

 シェイドが誰かと言いあっている。俺は入らない力を振り絞り……目を開けた……視界がぼやける。

「……ィネ……フィ……ね?」

 血が喉に詰まり声が出ない。しかし……俺の目の前にいるのは……フィーネ!

「そうか……お前がエファロードの女か!エファロードも生きているようだから……目の前で切り刻み殺してやろう!」

 なぜ……なぜこんな所に来た!?いつも後先を考えずに行動する癖……治してくれよ!

 危機にも関わらず、自分から危険に飛び込むフィーネの癖が何故か愛しく思えてきた。

 フィーネのお陰だろうか?何故か……体の底から力が沸いて来た!

「……待て、シェイド!まだ俺達の勝負は終わっていない」

 体は急速に回復しているが、まだ完全ではない。俺は剣を杖にして立ち上がった!

「エファロード!第二段階か!?」

 だろうな。今の俺は天界で神官と戦った時と同じような力を感じる!恐らく目は真紅に染まっている事だろう。

「フィーネ、リバレスを連れて安全な場所へ!」

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