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 そして、数万年にも及ぶ戦いで神と獄王は力を削られ、その無意味さを知り争う事をやめた。その後、神と獄王は力のほぼ全てを用いて、星を……惑星シェファを3つの小惑星へと分割する。

 小惑星はそれぞれ『天界』、『中界』、『獄界』と区分され、『天界』は神が、『獄界』は獄王が統治する事となる。『中界』は『天界』と『獄界』の中間に位置し、緩衝帯としての役割を持つ不可侵領域とした。

 こうする事によって、神と獄王は距離を置き平和に更なる進化を遂げられる筈だった。

 

 しかし、現在から僅か数100万年前……再び神と獄王が対立する事象が発生する。

 それまでは互いに干渉される事無く、自分の持つ『界』を発展させ進化させ続けていた。『天界』には『天使』という生命が生まれ、時を同じくして『獄界』には『魔』が生まれた。

 驚異的な速度で知能を有した生命が増殖し、幾度か『相対する界』へ侵攻しようと企てる者も居た。

 だが間に在る『中界』のお陰で、界の対立迄には至らず平和な時が流れていたのだ。

 

 それを終焉へと導いた事象とは、『神』が『獄界』に断り無く、緩衝帯である筈の『中界』に『人間』という生命体を多量に創った事である。

 

 非支配である事で意味を為す『中界』が侵された事に獄王は激怒し、同様に『中界』へ魔を送った。

 両者の間で修復不可能な深い溝が生まれ、現在もそれは続いている。『中界』は人間と魔が混在する世界となったのだ。

 

そして、大いなる悲劇は
天界で生きる一人の天使から始まる。

 

 


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