〜大切なもの〜

「ザァー……」

「ルナさん、ルナさんっ!」

 消し飛んだ空間に流れ込む波の音と、シェルフィアの呼ぶ声が聞こえる。

 俺、私が意識を失って、ずっと呼びかける声……。この感覚、懐かしいな……

「うっ」

 私はゆっくりと瞼を開いた。途端に、涙を流しながら治癒の神術を使い続ける妻の顔が目に入った。

「ルナさーん!」

「パパッ!」

 リルフィ……安全な場所に離れたんじゃなかったのか?それより……

「痛いって!」

 二人が力強く私を抱き締めるから、傷を負った私には痛かった。勿論、それだけ想われているから嬉しいのだが。

「あっ……ごめんね!」

 母娘は照れくさそうに私を抱き締める力を弱めた。

 それはそうと、二人が此処にいるという事は、フィアレスはまだ立ち上がっていないという事だ。奴はまだ死んではいないだろう。だが、先に目覚めた私の勝ちだ!そして、私は立ち上がった。だが!

「グッ!」

 激痛で立ち続ける事が出来ない!シェルフィアの強力な神術で出血は止まっているものの、内臓の損傷は完治していないようだ。

「パパ!無理したらダメよ!」

「そうよ!ちゃんと治すから、暫く安静にして!」

 こうして、再び私の治療が始まった。

 目を閉じて、どれぐらいの時間が経っただろう?体が修復されていく心地良さで眠りに落ちようとした時だった!

 

 

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