〜戦士の休息〜

 国王の対応を確認するまでの期間、私達はリウォルに滞在する。昨日は国王から最高級の料理を出されて、話をしながらそれを味わった。国王も兵も、皆私の話を信じた。夜も更け、私とシェルフィアはスィートルームで眠った。幸せな時を感じながら……

 そして、今日……私は一人、シェルフィアが目覚める前にリウォルの街にいる。兄さんも言っていた事だが、私はやらねばならない事があるからだ。私は、リウォルを歩き回って店を探した。そこは……『リウォル宝飾店』。私は、そこに立ち寄り用事を済ませるとすぐに城に戻った。

 そうだ……『今度この街に来る時は』昔言った事を思い出したからだ。いや、忘れてなんかいなかった。

「ルナさぁん!何処に行ってたんですか!?もう!」

 私が戻ると、シェルフィアが怒っていた。もう勝手に外出するのはやめよう……

「ごめん、どうしてもやらなければならない事があったから」

 私はシェルフィアの肩を抱き寄せて、優しくキスをした。しかし……

「また、あの隠し事ですか?」

 シェルフィアの機嫌は直らない。そうだな、不信感を与えてしまったんだ。黙っておきたかったけど、少しだけなら話すしかない。

「隠し事なんかじゃないんだ。きっとシェルフィアが喜んでくれる事だと思う。明後日、全部説明するから怒らないでくれよ」

 私は微笑んだ。すると、ようやくシェルフィアも機嫌を直してくれた。

「えっ?私が喜ぶような事なんですか?それじゃあ許します。明後日、楽しみにしてますね!」

 その言葉と共に、シェルフィアは嬉しそうに私に抱きついた。感情のわかりやすい子だな。

「ああ。もう黙って出かけたりしないよ。それはそうと、今日はせっかくだし街の散歩に行こうか?」

 私は彼女の頭を撫でて、少し照れながらそう言った。

「はいっ!行きましょう!」

 至福を湛えた顔……それは少し幼さを残し、純粋で大きな目が輝いている。背は私より20cm近く小さいくせに、体一杯で喜びを表現する。そんな彼女が、何よりも愛しかった。ここにいるのは、私が愛したフィーネでありシェルフィア。ずっと幸せが続きますように。そう願わずにはいられなかった。そして、私はシェルフィアの手を取り街へ連れ出した。デートするのも200年振りだな。

「ルナさん、ルナさぁん!」

 はしゃぎながら、私の手を引っ張る。街の警備は国王の命令で薄くなっており、一般人が多く街を歩いていた。

「そんなに走ると危ないぞ!明日もあるんだからな!」

 私はそう言ったが、彼女は変わらない。ずっとこんな時を待っていたんだ。私も何も考えずに楽しもう!

 私達はこの日と次の日、誰にも邪魔されずに過ごす事が出来た。世界中から集められた珍しい料理を食べ、音楽隊の演奏を聞いた。驚いた事に音楽隊は200年以上も続いていたのだ。服やアクセサリーも買った。やはりこの時代でも、私の持ち物には価値があり何でも買う事が出来たからだ。買ったものの中には、ペアのブレスレット、白紙の本などもあった。この本には、戦いが終わった時に『時の記憶』を書き記そうと思っている。全ての出来事を永遠に忘れないように……そして、私とシェルフィアの『心の証』とするために。

 勿論、兄さんとリバレスの為にも土産を買った。こうして、夢のような2日間はあっという間に過ぎていくのだった。

 

 

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