第二十一節 ()(ばな) A

 

 剣は偽物だ。だから、彼女の体に当たった瞬間粉々に砕けていた。

「少しは解ってくれた? 貴方がやった事がどれ程恐ろしい事か。死ぬ前に、愛する人の顔が浮かぶでしょう?」

 私はジュディアさんに手を差し伸べた。彼女は私の手をギュッと掴む。泣いていた。

「ごめんなさい、ごめんなさい! うわぁぁ……ん!」

「解ってくれたらいいのよ。私はルナさんの所に戻ってくる事が出来たんだし、もう誰も貴方を責めないから」

 彼女は何度も何度も謝り、泣き続けた。これで、余計な憎しみを増やさずに済んだ。私は彼女に殺されたけれど、憎んではいない。もう彼女は、人を見下したり傷付けたりする事は無いだろう。痛みを知ったのだから。そしてルナさんも彼女を憎む事は無くなる筈。

 私は彼女が泣き止むまで、抱き締め背中を撫でてあげた。




目次 第二十二節