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絶対に、ルナとシェルフィアを幸せにしようって……

わたし達がいなくなってもね。

 

 

〜迎えるのは悲壮な決意と強い心〜

 翌日、左手の薬指に綺麗な指輪をつけたシェルフィアと何だかいつもよりも嬉しそうなルナが帰ってきた。わたしとハルメスさんは一瞬目を見合わせたけど、すぐにその意味はわかってしまった。婚約したという事を。わたしは……そんな幸せな事をいつものように明るく笑顔で迎えよう。二人の顔を見ていると、すぐにそう思えた。そう……厳しい未来なんて忘れてね。

「よくやったな!お前達!」

 ハルメスさんはルナに渡された手紙を読んだ途端、嬉しそうに声を上げた。そう、人間達の戦争は終わったんだ!

「はい!後は来るべき日に備えるだけですね!」

 ルナも嬉しそうだった。そんなルナ達の下にわたしは飛んでいく。でも、修行と昨日の話で疲れた所為か少しよろめいてしまった。

「ルナー、シェルフィアー……お疲れ様ー!」

 わたしは二人の周りを祝福する気持ちで飛んで回った。

「今夜は、祝宴にしよう!そして、その時に……これからの予定を話すぜ」

 ハルメスさんの顔は嬉しそうだったけど、自分……そしてわたしの未来と責任を思ってか表情に少し厳しさが顕れていた。

「はいっ!皇帝、今日の祝宴の料理は私も手伝いますよ。私は副料理長ですから」

 へぇー……シェルフィアはこの城で副料理長だったんだ。うーん……フィーネとルナが最初に話すきっかけになったのも『料理』だったもんね。人間って生まれ変わっても、前世に似るものなのねー……と思った。

 

 その後、祝宴が始まり……ルナ達が婚約したという喜ばしい事実も明らかになったのよねー。本当におめでとう!二人なら何があっても絶対幸せにやっていけるから自信を持ってね。わたしは……いつでも見守ってるからねー。

 

 祝宴が終わり、トレーニングの日々が始まった。そして、70日が過ぎて……皆で過ごせる最後の夜になったのよ。無数の星が瞬いて、すごく穏やかな風が吹いていた。もうすぐ人間界には春が訪れる。わたしとハルメスさんはそこに一緒にいることは出来ないけどね……

 

 ハルメスさんは、この日を『最後の晩餐』と名付けた。戦いが終われば、次に訪れる『新しい世界』で最初の祝宴を開こうって言って。この日、わたしとハルメスさんは嘘をついていたの。『全員、生きて再会できる』ってね……でも、それがわたし達の選んだ道だから。わたしもハルメスさんも『愛する者』の為に生きたんだからねー……

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