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 無知な王は、私を捕らえようとする。兵は周りに200人程。どうやら、王と二人きりで話す必要があるな……

「ルナさん、私に任せて下さい」

 私が神術を発動させようとした瞬間、シェルフィアが制止した。

「炎の壁」

 シェルフィアがそう呟いた瞬間、私達の周りを巨大な炎の柱が包んだ!高さ20mはあるだろう天井まで焦がす勢いだ!

「うわっ……私をどうするつもりだ!?」

 国王は椅子から転げ落ち、後退りを始める。しかし、それも炎の壁で遮られた。

「すまない。わかってもらえないようだから、こんな手荒な真似をするんだ。私の言葉は真実……3ヶ月後までに、全ての人間が手を組み……来るべき時に備えるんだ。3ヶ月後に、数百万の魔物と、数千の天使がこの世界に現れる。人間を全滅させる為に」

 私は正直にそれを話した。混乱は必至だろうが……人間の王には伝えておくべきだと判断したのだ。

「3ヶ月後に……魔物と天使が人間を滅ぼしに来る?天使など見た事もないが」

 まだ半信半疑のようだ……呆れた王だ。いや、急にそれを理解出来る程柔軟な人間など多くはないだろう。

「私は、元天使だ。この翼を見るがいい」

 私は光り輝く翼を広げた。どうやら、それで一応納得がいったようだ。

「そうか……ルナリート……様も……フィグリル皇帝も天使……どうりで何年経っても変わらないわけだ……だが、何故天使が人間を!?」

 なかなか頭が働くらしい。その質問にはどう答えるか?

「ルナリート様と、ハルメス様は唯一人間の味方なのです!……私達人間は、天使にとっても魔物にとっても邪魔な存在!だから……消されるんですよ!それを救う為に、ルナリート様もハルメス様も戦ってくださるのに……私達人間が戦わなくてどうするんですか!?」

 そこで、シェルフィアが叫んだ。ルナリート様っていう響きは好きじゃないが……

「我々は消される?人間が?」

 王はボーっと中空を見ていた。頭の整理が追いつかないのだろう。

「国王、あなたが人間の王としてやるべき事は決まっている。人間どうしのつまらない戦争を今すぐに止めさせ、それがいかに無意味であるかを教えるんだ。そして、3ヶ月後に訪れる悪夢に対抗する為に結束する事だ」

 私は言い放った。これを理解出来ないようならば、これ以上いくら諭しても無駄だろう。

 しばらく沈黙の時間が流れた。すると……

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