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「フィーネさんを助ける事が出来て本当に良かったな!
そして……ついにエファロードを知ってしまったな」

 ハルメスさんは、まるで自分の事のように喜んでくれた。でも、エファロードの話になった時には真剣な顔に変わった。

「はい、私とハルメスさんは『愛』を命題に生まれた、『神』の後継者なんでしょう?」

 私がそう言った時……ハルメスさんは何とも悲しい顔をした。

「確かにそうだ。でも、俺は『愛』をするように生まれてきたんじゃない。ティファニィだから愛せたと信じてる」

 彼は俯いていたが、顔をあげて強い心を持つ目で私を見据えた。

「私もそうです。決して作られたものなんかじゃない。そう言い切れる自信があります」

 私達は、同じ考え方を持っている。それが何だかおかしくて笑ってしまった。

「ははは!やっぱりお前は俺の『弟』だよ!俺達は同じ血を引く本当の兄弟だからな!」

 ハルメスさん、ハルメス兄ちゃんがそう言った。そうなんだ、慕っていた人は本当の兄だったんだ!

「私も……貴方を兄さんみたいと思ってましたけど、本当の兄弟なんですね!嬉しいですよ!」

 私達は、エファロードで兄弟。同じような考えを持ち、同じような生き方を送る。それは当然だったのかもしれない。

 でも、私は今まで知る事の無かった自分の事や兄弟、親を知る事が出来て嬉しかった。ハルメスさんが兄だったなんて……私には自分がエファロードである事よりもずっと大切な事に思えた。

「俺も嬉しいぜ!ルナがそれに気付いてくれてな!フィーネさん奪還の祝いもあるし今日は盛大に祝おう!」

 ハルメス……兄さんはそう言って、私の肩を叩いた。

「良かったわねー!」

 リバレスも涙を流しながら喜んでくれた。そうだ……私も兄さんもリバレスも家族なんだ。

「今日は……酔い潰れるまで飲みますよ!」

 そう言って、嬉しい宴会が始まる事になった。唯……フィーネがここにいないのが残念だったが……

 いや、フィーネもティファニィさんもいたら最高だったのに……
でも贅沢ばっかり言えない。フィーネはすぐに戻ってくる。

 

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