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「ルナー、あいつはやけに往生際がいいわねー……次に待ってる奴がそんなに強いのかしらねー?」

 リバレスが無用心にも元の姿に戻って、緊張感なく話しかける。

「こら!元の姿に戻るな!次が誰であろうと、俺は進むんだ。それが、唯一俺に出来る事だからな」

 俺は、そう言って扉を開けた。すると、風景が変わり……まるで内臓の中のような赤く……そして禍々しく波打つ空間に出た。そんな階段を駆け上り、俺は上層の扉を見つけた……だが、鮮血を塗りたくったようなこの扉をどうしても開けたくない。

 俺の本能が……この扉を開けることを拒絶しているのだ。

 だが、本能を押し切り俺は扉を蹴破った。

 

〜受け継がれる力〜

「随分遅かったね」

 内臓のような部屋の真ん中に佇む者……それは、たった一人の魔の少年だった。身長は俺より10cm程低く、小柄で華奢な少年……髪はストレートで耳の辺りまで伸ばし、端正な顔立ちをしている。皮膚が黒くなければ、人間と見分けがつかない。だが……

「お前は……何者だ?」

 俺は、その少年から感じる異様な程の力に後ずさりしながらそう訊いた。

「僕は、フィアレス・ジ・エファサタン。君がエファロードなんでしょう?」

 臆面もなく、その少年は聞いてくる。そして、少年……いやフィアレスは歩み寄ってきた。

「ああ、俺がルナリートだ。獄王に会わせてくれないか?」

 俺は、身構えながらも主旨を伝える。俺の本能が、少年との戦いを拒んでいるからだ。

「お父さんには会えないよ……僕を倒さないとね」

 やはり!この少年は獄王の子供……何という力だ!

「僕はこの前やっと1500歳になって、人間や天使と戦う許可をもらったばかりなんだ。僕は、自分の力を試したくて!獄界の皆じゃあ、僕の相手は務まらないからね。これは、君の剣でしょ?返すよ」

 無邪気に話しながら、フィアレスは俺の剣を返してきた。

「一体どういうつもりだ?」

 返された剣を腰に携える。紛れも無い、オリハルコンの剣……

「だから、僕は君と戦いたいんだよ!僕の生命力は3000万らしいから、同じような力を持つ君を倒すんだ!」

 そう言うと、フィアレスは手をかざし無の空間から禍々しい形をした、一筋の光も反射しない黒の剣を取り出した。

「あー……ゾクゾクするなぁ!僕は君を殺す気で行くから、君も本気で来てね!」

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