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 そんな!天使の指輪を外せば、俺は天使としての資格を失い……天界には二度と戻れない!さらに、指輪を渡すという事は俺の力を獄界の者が得るという事だ!それはつまり、獄界の者は神術も魔術も全て使えるようになる。天界の力が獄界に渡るんだ。俺一人の所為で!だがハルメスさんは言っていた。指輪を外せば、俺の力は制御されないようになると……

 フィーネの為に俺が天使としての自分を捨てるのは容易いが、獄界の力が増大するのは不安だった。

「(ルナー!ダメよー!)」

 リバレスが叫ぶ!それはそうだ……世界を変えるような決断なのだから!俺はしばらく迷っていたが、結論が出た。

「いいだろう」

 

 俺はそう言って、右手中指に1826年間光り続けた指輪を外した。俺には、世界よりも……フィーネが大切なんだ。

 

 天界や人間界を危険に晒すのは承知していた。しかし、指輪の力は俺の力の一部……魔が大軍で攻めて来ても俺が全力で守ればいい。いや……ハルメスさんと共に戦えばいいんだ。俺も、この時ハルメスさんと同じように天使ではなくなってしまった。

「ルナー!」

 リバレスがテレパシーも使わずに大声で叫んだ。無理も無い。俺はもう天界には帰れないのだから。

 だが、不思議と未練は無かった。天界に戻る理由もない。フィーネさえ生きていてくれれば!

「確かに受け取った。そんなにも、あの女の魂が大事か!?貴様のエゴが、天使や人間を破滅させる事になるというのに」

 奴はニヤニヤ笑っていた。確かに常識的に考えて、愚かな選択だと思う。そう……君に出会うまでは……

「約束通り、獄界に案内しよう……そこからは、自分の力で獄王様に辿りつくんだな!指輪は、獄界に招く条件だ。その後の交渉は貴様次第というわけだ!」

 そういう事か!これでフィーネを救えるというわけでは無いんだ。予想はしていたが、まだ道は険しい……

「さっさと案内しろ」

 俺は内心、この魔に怒りを覚えていた。俺はうまく騙されたのだから!だが、獄界まで行ければまだ希望はある!

「ハッハッハ!愚かなエファロードよ……獄界で後悔するがいい!」

 

 

 

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