「幸い……ほとんど使いこなせてないみたいだけどねー……100%の出力を出せば、この街の全てを消すぐらいわけないから!」
リバレスは身震いしながらそう言った。一体誰が……何の為に!?いや、待てよ……光線が照射された方角を辿ると……
「使用された方角には、リウォルタワーがある!現在そこは魔物の本拠地らしい。兵器を使ったのは、恐らく高度な知能を持つ魔物だ!さっきの一瞬で数百……数千の命が奪われた。許す事は出来ない!」
私は声を荒げて叫んだ!
「どうするのー!?ルナ!」
リバレスも怒りを露にして私の顔を覗き込んだ。
「叩き潰す!こんな残虐な真似を許せる程、私は穏健ではないからな!」
その時、フィーネが立ち上がった!
「……私も行きます!許せないから!」
と、フィーネも今まで見た事もない程の形相に変わった。
「ダメだ!今回は危険この上ない戦いになる。相手は禁断の兵器を使う者。私は君を守りきれる自信がない!」
私は真剣な表情でフィーネをなだめた。大切なフィーネを危険に晒したくはない!
「でも!」
フィーネは涙を拭いて、この街で買った新しい剣を抜く。
「頼む!ここにいてくれ……ここにいて、傷ついた街の人々を助けてやってくれ!」
私は、怒れるフィーネを抱きしめて街を指差した。街からは火の手が上がり、傷つき逃げ惑う人々の群れが夜闇に映っていた。
「……わかりました。決して無理はしないで下さいね……私は、ルナさんが」
剣を落とし、涙声で私を心配するフィーネは途切れ途切れに言葉を発した。
「わかってる。私は必ずフィーネの元に戻る!だから、その言葉の続きは……今は無しだよ」
私は、フィーネを強く抱きしめて優しく髪を撫でた。そして、必ず戻ってこれる事を信じてリウォルタワーへと全速力で駆け出した。
この時、私は行く先に待ち受ける運命を知る由も
無かった。