「殺せ」
魔は先程の様子とは異なり、観念した様子だった。
「貴様に一つ質問する。エファロードとは何だ?」
俺は、剣を彫像に構えて質問した。
「今の貴様の生命力は『200000』……その力が、第一段階である証拠だ……今の貴様の目が真紅に染まれば、貴様の力はさらに十倍になる。貴様の情報は今、獄王様に意識として送った。さぁ、殺すがいい!」
真紅の目?神官と対峙した時には確かにそうだったが……段階とは何だ!?
「貴様の知る事を全て教えるんだ!」
俺は理解出来ない言葉に戸惑った。
「クククッ……貴様がエファロードなら、この世界は獄王様の物だ!クハハハハハハッ!」
その瞬間!
「ドォォーン!」
という閃光と爆音と共に、魔は砕け散った!自爆したのだろう。
そして……無限とも思える静寂の後で私は我に返った。
「ルナ、大丈夫なのー?」
リバレスが、不安で曇った顔色で私の表情を伺う。
「あ……あぁ。今の私の力は一体?天界での……あの時とよく似ていたが」
私は、前髪に手を伸ばし確認してみた。いつもの赤い髪に戻っている。
「ルナの髪が銀色に光ってたのよー!前みたいに目は赤くなかったけどー」
エファロード……第一段階……あの魔が言った言葉……理解が出来ない。
「それより……フィーネ!大丈夫か!?」
私は呆然と立ち竦むフィーネに問いかけた。
返事は無かった。私達の事を知って驚いているのか?
「……もう知られてしまったからには仕方ないな。……私は」
と言いかけた時だった。
「……あなたが……あなたが誰かなんてどうでもいいんです!どうして……どうして争いは無くならないの!?なぜ殺しあわなくちゃいけないの!?わからない!私はどうすればいいんですか!?……どうすれば、みんな幸せになれるんですか!?教えて下さいよぉ!」
そう泣き叫びながら、フィーネは私の胸にすがりついた。彼女は争いを無くして皆を幸せにしたい。その一心なのだ。
「……君はよくやってるよ。今は……争いが無くならないのは仕方ないんだ。でも、それを少しでも無くすために私達はここにいるんだろ?」
フィーネは頑張ってる。心からそう思う。たった一人の人間が……私は、優しく彼女の頭を撫でた。