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 女は燃え尽きた。灰すら残っていない。
とてつもない『魔力』だ……

「殺すってのは、強い者だけが行える愉しみなんだぜ!」

 と、惨殺現場に魔は唾を吐いた。

 

「うぅ……何て事を……どうして魔物はそんなにも残酷に人を殺せるの!?私達が何をしたのよ!」

 その時、弾き飛ばされたフィーネが泣きながらそう叫んだ。

「さて……待たせたなぁ!次はお前の番だ、娘!」

 魔の掌に力が集約される!

「中級神術『天導雷』!」

 その瞬間、私は咄嗟に魔に神術の雷を放っていた。

「バリバリバリッ!」

 天を裂く雷撃が魔に直撃する!

「グッ!誰だ!」

 その言葉の終わるや否や、私とリバレスは魔の眼前に踊り出ていた!しかし、足が竦む!

「クズが!それ以上の愚行は私が見過ごすわけにはいかない!」

 フィーネに危機が迫っている以上、私一人逃げる訳にはいかない!私は懸命に声を張り上げた。

「フッ……やはり来たか。待っていたぞ、堕天使ルナリートよ!」

 魔は私の登場を予め予見していたかのように、不気味な笑みを浮かべた。

「何故、私を知っている!?」

 私は、得体の知れない相手に叫んだ。

「貴様の存在は、獄界では有名なんだ。それより……何故、天使のお前が人間の味方をする!?元々、この愚鈍な人間共が暮らすこの世界は、貴様ら天界の神が我々に断り無く中界に作ったものだろうが!?」

 魔は歴史の事実を私に叫んだ。

「……確かにそうだ……しかし、人間達は……天界に誕生する価値の無い魂から生まれるという点以外では、ほとんど我々の干渉を受けずに単独で暮らしている!人間は天使とも魔とも違う、意思を持った生命だ!」

 私は、魔を睨み付けその言葉に反発した。

「クククッ……本当にそう思っているのか!?どうやら、一般の天使には本当の『人間界』の存在意義を教えられていないらしい。歪んだ歴史のみが貴様らには伝えられているらしいな!この世界は決して『神の戯れ』などで創られたのではない!完全な計算の元で創り出された、天界の副産物ということだ!」

 魔は理解出来ない内容を語った。

「……どういう事だ?」

 私は、事実を知りたかった。人間界は、数百万年前に『神の戯れ』で創りだされたのではないのか?

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