前ページ

「究極神術……『不動』よ。『拘束』よりも遥かに強力で、指先を1mm動かす事も出来ない。それと同時に、体の変化を停止させる。今の私じゃあ、それ以上力の増えたルナは相手に出来ないから。でも安心してね……口だけは動かせるようにしたから」

 全く動けない!同時に、力の増大も停止させられている!

「……ふざけるのは……いい加減にしろ」

 何とか動かせる口で俺はそう言った。しかし、ジュディアは俺を無視して続ける。

「まぁ、結論から言えばこの娘は名誉ある『生け贄第1号』って事になるわね。最近、魔の進行が激しいのはあなたもよく知っているでしょう?このまま行けば、天界まで侵略される恐れもあるの。それで、獄界への道を封じる手段を探しに私が天界から派遣されたわけ。私はこれが成功したら表彰されるし、ルナだって魔と戦わなくてよくなる。一石二鳥じゃない」

 ジュディアは淡々と話を進める。だが、フィーネを生け贄にするだと!?

「……魔なんてどうでもいい!だが、フィーネを殺したら俺がお前を殺す!」

 俺は、ジュディアを睨み付けた!すると、今まで淡々と話していたジュディアの顔と口調が急変する!

「私を殺す!?とうとうそんな世迷言を!……あなたは最高の天使なのにも関わらず、下等な人間に情を抱いた!……許せない!どうして、そんなにもこの女にこだわるの!?私がいるのに!何故、下らない人間の為に命を懸けるの!?人間なんて、天界のゴミに過ぎないのに!?この世界は、ゴミ捨て場なのよ!」

 ジュディアは、感情を剥き出しにして叫ぶ!そして、俺の襟を強く掴んだ。

「……黙れ……お前のような高慢な心では、生涯理解できはしないさ」

 俺は動けなかったが、ジュディアにはっきりと言い放った。

「ジュディアー!人間の魂だって、天使と変わらないのよー!」

 そこで、リバレスが加勢する!俺は、そんなリバレスを誇りに思う……

「『蝶』は黙りなさい!」

 しかし、加勢も虚しくリバレスは『拘束』されて地面に落ちた……

「……まさか、ここまでルナの心が蝕まれているなんて……哀れだわ。でも、仕方ないわね。私が、3日で人間を1万人殺してあげる。……それで、あなたの呪縛は解けるわ。フフ……だから、まずはこの娘に死んでもらう!」

次ページ