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『……始まりは……中界と共に』

 私は記念碑を一読したが、一部文字が解読出来ない。古代文字よりもさらに古い文字が混ざっているからだ。

「この遺跡は古いのねー……でも、読んで行った方が良さそうよー」

 部屋を見渡すと、床も壁も天井も立派な大理石……しかし、所々ひび割れていた。そして、リバレスの言う通り記念碑には重要な事が記されている気がする。記念碑を読みながら、先を急ごう!私達は、更に下層へ続く階段を駆け下りた。

「フィーネ、無事でいてくれ!」

 私は祈るような気持ちで走る。フィーネさえ無事でいてくれたら……私は何も必要無い!

 そして、再び視界が開けた……今度は『橙色』の輝水晶だ……こんなにも輝水晶を多用するのには、余程大事な事が隠されているのだろう。

 輝水晶は、星の始まりからごく少量のみ存在しているらしいが、余りに貴重なので天界でも殆ど目にする事は無いのだ。

「ルナー!また記念碑よー!」

 リバレスが言い終わる前に私は、それに目を通す。

『……この遺跡は……獄……を……封じ……ある』

 この文章が、ハルメスさんの元に届いたのだろう。確かに、この遺跡が獄界と封印に関係している可能性は高い……

「……今は、何よりもフィーネを助ける事が優先だ!魔との戦いは後でいい!」

 私は、そこで正直な気持ちを叫び更に階段を下りる!

「キャー!」

 再び視界が広がった地下3階で、急にリバレスが声を上げた!それもその筈だ……

「魔の死骸の山だな」

『黄色』の輝水晶の周りで、20体近くの魔が殺されていた。氷漬けになって!

「ジュディアが殺したのねー」

 10m四方程の狭い部屋に、これだけの死骸がある事に私は恐怖さえ覚えた。しかも、ついさっき殺されたように氷の刃の跡が生々しい……

「私に秘められた強大な力を……自在に操る事が出来たら!」

 魔との戦い……フィーネやリバレスの危機で、幾度か発動した力を……今使う事が出来ない事が腹立たしく……悔しかった。何故、こんな時に力を使う事が出来ない!?

「ルナー、大丈夫よー!ジュディアなら……話せばわかってもらえるはずよー!」

 そんな私を気遣って、リバレスが私に声をかける。だが……

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