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 私は、持っていたハンカチでフィーネの涙を拭いて、今度は正面から抱き締める。

「良かった。やっぱり、私は優しいルナさんが大好きです」

 フィーネが目を瞑る。微かな光に照らされて頬が、薄紅色に染まって見える。その様子は今までで一番妖艶に思えた。

「フィーネ、愛してるよ」

 私達は、長く……激しく……口付けを交わした。時間を経る毎に、この気持ちが強くなっていくのがわかる。

「あっ!」

 その時、フィーネが驚きの声を上げた。私も周りを見渡してみた……

「……雪ですよ」

 いつの間にか空には雲が増えていて、そこから粉雪が降ってきていたのだ。

「これが雪というものか……初めて見たよ」

 夜闇に微かに煌く白い結晶……風に揺られて舞い落ちるその姿は言いようが無いほど幻想的だった。

「……ルナさんと出会った、ミルドの丘……あそこもよく雪が降り積もるんです。綺麗ですよね」

 段々と視界が白く染まっていく……確かに、綺麗な光景だ……

「綺麗だな。そうか、今頃あの丘にも雪が降ってるかもな」

 私は、フィーネの肩と髪に積もった雪を手で軽く掃った。すると、フィーネから笑顔がこぼれる。

「ルナさんにもいっぱい雪が積もってますよ!」

 フィーネも、クスクス笑いながら私の雪を取ってくれた。私達二人は何だか可笑しくなって、しばらく笑い合っていた。

「……ふふ……行きたいですね」

 柔らかい笑顔のフィーネが、独り言のように呟いた。

「……ん?何処に行きたいんだ?」

 私は、指でフィーネの頬を突付いた。すると、何だか嬉しそうな顔をした。

「……ミルドの丘ですよ。初めて出会ったあの丘で、二人でもう一度雪が見たいんです」

 雪は小降りになっていた。大地に雪が積もるには、まだまだ足りないようだ……

「あぁ、絶対に見よう!約束だよ」

 全てが始まったあの丘で、あの時とは違う心で二人で雪を眺めるんだ。

「はいっ!約束ですよ!」

 フィーネが嬉しそうに、私の頬にキスをした。また楽しみが一つ増えたんだ。しかし……

 

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